御座の方言集     森田利一編
(あ〜お)           


A B 言葉 意味(左の項目Aの○は広辞苑第六版にも見られる言葉。項目Bの◎は御座郷土史にも見られる言葉)
【あ】
  ーぁ 年輩の人に対して使う言葉で@はい承知しました。判りました。A話し相手に聞き返す言葉。例→アーァ イマシ、ナットオ、ユウタンゾ(今何と言ったのですか)。近くの人に対しては「あぁ」を使う。
ーいた 痛い時に出る悲鳴。又は困った時にも使う。
ーさん 幼児語で神仏のこと。
(間)→<あわい>
いがらすがら (問永隙永)少しの暇にも ひっきりなしに。連続で。(暇を見ては何かする様を伝えている。)
あい (間食い)定時の食事以外に何かを食べる。
いそもそも (愛想も小想も)あきれはてて愛想(相手に対する好意)も信頼も消え失せすっかり嫌になること。こそは愛想を強調するため語呂合わせのように重ねた言い方。日本語テストで約千人を対象に(こそ)(みそ)(くそ)の三択問題を出したところ、正解率は25.6%にとどまり(くそ)(みそ)と答えた人の方が多かった。古めかしい言い方だから無理もない。
あいた →<あーいた>
あいた (飽きた)
あいたい (相対尽)双方が納得の上で。
いたよいたよ (あ痛いよ小痛いよ)少しばかり痛い時に表現する言葉。(古謡の一節から)
あいちょう (合調)あいこ、勝ち負けのないこと(相子)。
  あいなもん あのような物。又はあのような者。(同型に「こいなもん・そいなもん・どいなもん」がある。)
  あいに あんなに。(同型に「こいに・そいに・どいに」がある。)
いべ 歩け。
  いまこいま (合間こい間)所々 あいだあいだに。間隔をあけて。
いもきしょも (間も空所も)空いてる処が無い。又は寿司詰め状態。超満員の状態。
あいら (彼等)あの連中。あの仲間(自分より年下の人に対して使用)。
あおのく (仰のく)首をうしろにそらして上を見上げる。
あかいたち (赤鼬)火事ということの喩え。
いたちゃ 馬鹿者。(怒りを覚えた年下の人に向かって喩えとして言う言葉)
あかいたちをわす 放火する。
あかいぬのんぼん 大馬鹿者。(<あかいたちゃ>よりも更に強い口調)
あかぐそう @ぐうたら坊主。A意気地なし。役立たず。
かざやをぬく (赤鞘を抜く)その人の過去の真実をすべて明かす、又は悪事を公表する。
あかし 薪。
あかじゅんどる (垢染む)垢でひどく汚れている。
かだみず (若水)正月の元旦に最初に汲み上げた水。御座地区では井戸にしめ縄を張り、井戸紙に感謝の意を表し、除夜の鐘の鳴るのを待って井戸神にお酒と洗米をお供えして若水を汲み上げる。その水でお茶を炊いたり飯を炊くときに使う。
かちばしる (赤血走る)寒さきびしいために手足の皮膚が赤く腫れ上がる。
ちょおかん そそっかしい人。軽はずみな行動をする人。
あかなぎ (あか凪)無風状態。穏やかな日。
あかべー あかんべーの意味。
(吾が身)年上の人に使う敬語で、あなた、あなたさま。
みげ あなたの家。
あかめし (赤飯)小豆の入ってるご飯。主として祝いごとの時にもちいる。
  あから →<あかろどる>
あかろん →<あかろどる>
あかろ 赤く色付いて熟している。
きのくに (空きの国)人の集まるにところにまだ空席が多い状態のこと。
きしょお (飽性)移り気。根気がないこと。
あくさいする (厭くさいする)いやになる。
あくたも (芥もくた)悪口雑言。
くび アケビ。
あげ 魚の鰓。
あげいそ 時季が済んで収穫のなくなりかけた頃の漁り。(<あさり>の項参照)
  けくれ (明け暮れ)@朝晩。Aいやおうなく(一つのことに専念させられるニユアンスあり)。
あげしお (上げ潮)満ち潮。込み潮。
あげな あのような。
けてもくれても →<あけくれ>
あげなもん →<あいなもん>
あげに →<あいに>
あけっぴろげ (開け広げ)@すべてを開けて見せる様。隠し事が一切ないこと。A開いて見せたりする様。
あげる (吐げる)嘔吐する。胃の中の物を口から出す。
あさだれだれ (朝垂れ夕垂れ)朝も遅く夜も遅い。
あさっぱち (朝っ八)早朝。
のごや (朝の卯の午夜)朝まだ暗い時間帯。
さて (明後日)明日の次の日。あさって。
あさぶら (麻裏)履き物の一種。
あさまし (浅ましい)卑しい、又はきたない。心の状態を指す場合に使うことが多い形容詞。
さり (漁り)潮の干潮時に腰まで入って貝を採ること。       
あざれる (?る)鮮度が落ちる。
あし 私。→<わし>
→<あじょ>
→<あじょげ>
あしこ (彼所)あそこ。
  あしこら あそこのあたり。
あしこらへん →<あしこら>
あじ (味無い)旨くない。美味でない。
あしの 足の裏。
あじもしゃしゃらもない (味も?も)味もそっけもないこと。
あじゃ 君はねぇ。
  あじょ お前。君。(男性語であるが女性も使うことがある。)
あじょげ 君の家。
あじろ @(網代)漁師が得手としている漁場。A人が常々好んで行く場所。
あすぶ (遊ぶ)
あせくる 慌てる。
あせぼ (汗疹)汗をかくために皮膚に出来る小さい腫物。
@(畦る)田の畦を補修する。A撫でる。
あた (綿)
  あたがし カサゴ。
あたすかん いけ好かない。大嫌い。
あた 湯が熱い。
あだな (渾名)あざな。本名の外の名。
あたまのてっぺん (頭の天辺)頭上。
あたまをかる (頭を刈る)散髪をする。
だやおろかじゃない (仇や疎かではない)容易なことではない。そのように安々といかない。 たやすくはない。
あたる (当たる)触れる。さわる。
あたんする (仇にする)その人に思うところがあって意地悪をする。嫌がらせをする。
あっーさん →<ああーさん>
  あっいひもみせん (赤い火も見せん)欲張り、けちん棒であることの喩え。
あづきをかく 胡坐をする。両方の足を組んで坐る。
あっけらかん 呆れ顔。
あっおする 部屋の中を散らかす。又は物を探す際にかき回して部屋の中を乱雑にする。
あっちゃ (彼方)向こう。
あっちゃこっちゃ (彼方此方)@あちらこちら。Aあべこべ。反対。
あつづら (厚面)脂(あぶら)ぎった肉の厚い顔。厚顔。
っぺー 小型の海底を覗く鏡。
あてがいぶち (宛がい扶持)支払うべき報酬。
  あてごておく (宛てがっておく)@与える。配分する。A物を持たせておく。
あてごとく →<あてごておく>
あてずっぽ (当てずっぽう)当て推量。やま感。
てのすじが (当の筋が横)あてはずれ。
あとさきふまえて (後先踏まえて)前後をよく考えて。
あとさし (後差し)一組の布団に二人が前後から共に寝ること。
あどめ @事の善悪の判断のつかないこと。A見境なく行動すること。又は向こう見ずなこと。(人を意味する場合もある。)
あなずる (侮る)人を軽く見て軽蔑する。見くだす。
あなばち (新鉢)処女。
  あのえかい 年上の人に問いかける際に冒頭語として使う言葉。例→アノエカイ、キョオワ、イソイ、イタヤ、ダイリョオシテキタワイ(あのねきょう海女しに行ったら大漁してきました)
あば (網端)網の上部で浮きのついているところ。
ばう (庇う)他から害を受けないように庇う。
あばえる あまえる。
あばた カジメ(海藻の一種)。
あば (眩い)まばゆい。
あばやかす 甘えかす。我がままを容認する。
あばり (網針)魚網を修繕する竹製の小道具。
せる 浴びせる。
あぶらをぼる (油を搾る)説き伏せる。説教する。
ぶらをとる 仕事を怠る。怠ける。さぼる。
べらべら 話の内容がよくわからない、又は理解できない様。
あへんと 無頓着。
@(阿魔)◎女性を罵る時の称。(冒頭に「糞」をつける場合多い。)したたかな女性。A(海女)海に潜って作業をする人。
あまあまと (甘々と)@なれ親しむ。人なつこい様。又は拗ねる、あるいは我意を張って従わない状態。A甘えを咎める時にも使用する言葉。
あまから 甘い物から辛い物まで好む人。
ます (余す)残す。
あまめ 船虫。
あみくいがに (網食い蟹)ハサミが鋭く網をズタズタに切り裂く蟹の俗称。
あみ (編み垂れ)ワラやカヤで編んで作った雨防止用具。
あめがける どしゃ降りの雨が降る。
あめとる (甘くなっている)@軽率な考えである。軽率な考えになっている。又は軽はずみになっている。A→<あめる>
あめる 食品が腐る。腐敗する。
もりたける 啖呵を切る。たけだけしい話ぶり。
かす (妖かす)@見下げて馬鹿にする。からかう。A子供をあやす。
かり @(妖かり)憑依などを思わせる姿形。A(肖り)物や人に感じいって同じようになること。
@(粗)魚の骨や内臓 A(新ら)新品。まっさら B人の欠点。C◎(藁)。
あらっこう (粗悪口)悪口雑言。悪口の数々。
あらいはり (洗い張り)着物の縫い目をほどいて洗濯後に糊をして板に貼り付けてしあげること。
あらい (洗い米)洗った米。又は神前に供えるお米(饌米)。
あらう (笑う)
かくし (粗隠し)欠点を隠すこと。
らかんぼ (荒漢坊)荒くれ者。乱暴者。
くさ (粗臭)御座地区では年越しの晩に行う一つの行事で魚の頭と尾を串に挿し火に炙って臭みを出して家内から鬼を追い払うこと。その後その串を一年間門(かど)に刺しておく。
あらく @(荒くたい)あらっぽい。手荒な A思いがけない大金を手に入れる様。B波が荒い。
ける (散去ける)脇へ寄せて空間をつくる。別のところに移しかえる。又は取り除く。
あらっぽい 荒い。
りゃこりゃ さかさま。
あれとら 自分。
あろべし 幼稚な。
あわい @(間)隙間。あいま。A→<あい>
  わくらい (泡喰い)そそっかしい。あわて者。
あわてがみ →<あわくらい>
われ (海荒れ)大時化の翌日で未だ海が荒れていること。
あんかぶじん @(安閑無事)忠実息災。A(安閑無心)気を使わないこと。そのことに全く気づかずにいること。
んげつげつ (上んげつ下げつ)嘔吐したり下痢したり。
あんご →<あんごさく>
あんごのた →<あんごさく>
あんごまたい どんな場合でも正直一点張りで臨機応変の才のない人。
  あんごさく 阿呆。真抜け。あんぽんたん。
あんた (貴方)
あんたら 貴方たち。おまえたち。
あんちゃらべ 粗雑。雑把。手抜き。
あんなり あのまま。そのまま。
あんな 年下の人に呼びかける冒頭語。
あんぺらとお うすら馬鹿。
【い】
  承諾する時の言葉で、はい。(男性語)
いいやい (言い合い)言い争い。口喧嘩。口争い。
いいま (言い曲げる)強弁で相手を屈服させる。
いえど (家人)いつも家にいる人。
いお (魚(ウオ))
いでも 行かなくても。
いかつい (厳つい)頑丈な体格の。丈夫で強い。
  いがみ 舞鯛。
いがみやい (啀み合い)憎しみあって争そうこと。
いがむ @(歪む)形が正しくない。ゆがむ A(僻む)僻む。心がねじける。
いかん いけない。駄目だ。
いかん 行きなさい。又は行け。
いきたりったり どこへ行く当ても目的もなく行ったその場その場で時をすごすこと。
いきき (行き来)@行き交うこと。A行ったり来たり。
いきぎも (生肝喰う)相手にすごく気を使う、又は神経をすりへらす。
いきぐかいぐれ (行き暮れ還暮れ)出て行ったきり。 
いきしな 行き掛け。行く際。又は行く時に。
  いきすきできん (息隙出来ん)その人から目が離せない、又は気が抜けない、油断できない。(注意人物について言う時使う。)
いきべらす 行く機会を失う。チャンスをなくす。
いきづむ (息詰む)力む。
きづらまあす (生面廻す)顔面を平手で強く殴る。
いき (息遠し)息苦しい。呼吸が困難である。
いきける @潮の流れがすごく速い。A激しい下痢をする。
いきのいぼねがきれる @すごく苛立つ。Aすごく待ち遠しい。
いきはづれ 行くタイミングを失うこと。又は行く機会を逃すこと。
いきぼりくさい (燻り臭い)部屋の中に煙が充満して息苦しい。又はすごく燻る匂いがする。
  ぼる (燻きぶる)火が完全に燃焼してないで煙が部屋に充満している。
きりきる (意気りきる)興奮する。
いきる (熱る)興奮する。やる気になる。憤る。
いく (行くか)(御座の人同士が道で出合った時の挨拶の言葉)
いく →<いくか>。(主に男性が使っていた。)
いく →<いくか>。(主に女性が使っていた。その時の返事が<おいや>)
たて (幾質)幾通りも。何種類も。
いくら より多く。たくさん。
いくんかい →<いくんけ>
  んけ 行くのか。
いけ @(対々)出ず入らず。相子。A相互の貸し借りを相殺すること。
いけ (生きている)
いけ 捕獲して生簀で活かしている魚。
ごいごしてきた ようやく自分の力で何とか出来る様になった、あるいは体力が次第に良くなってきた体の状態を形容する動詞。
ごく @(動く)うごく。A働く。
いくじ (意気地)根性。性根。
いこ (行こう)
いこいや 行くことの中止を相談で決めた時の言葉。
らす (躄らす)ずらす。いじらす。滑り動かす。
いじくさり (意地腐り)性格のよくない人。
いじくじ →<いじりくじり>
いしころ (石ころ)小さい石の粒。
いしべや Y字型の木切れにゴム紐を付けて石ころを飛ばす子供の遊び用具。
いしゃごろし 医者がくれる薬同様に効き目のある食するもの。例→魚のあらなど。
いしゃどん (医者殿)お医者さん。ドクター。
いしゃ 医者が開業している病院。
いじくさり (意地腐り)根性が悪い。性根が腐っている。
  いじりくじり (弄り抉り)直線であるべきものが所々歪み曲ってること。又は九十九折(つづら折り)。
いそ (磯桶)志摩地方の海女さんの使用する桶。採集物を入れる桶。
いそ (磯下り)海女さんがその年始めて海女の作業する日(作業の初日)。
いそじょき 海女さんの作業用の上着。
いそど (磯人)磯で働く人。又は海女。
いそど (磯人舟)海女舟。
いそな 海女さんの潜水時につける腰巻き。又は下着。腰へ巻く布。
いそ 鮑を採集する際に使用する鑿(のみ)。
いそがね (磯眼鏡)海女が作業時に使用する顔に固定する眼鏡。
いそもん 小型の巻き貝の一種で潮の干潮時線の岩場に棲息している貝。
いた (行った)
いたとこべったり ところかまわず自分の行く先々ですぐ地面に腰を下して時を過ごすこと。
いたみとり (虎杖)イタドリ。野山に生えている野草の一種。(茎は食品として利用する。)
いたきたり (行ったり来たり)何回も往復を繰り返すこと。
った 行ってしまった。
いたわし (労しい)痛々しい。かわいそうに思う時の形容詞。
いちこ (一ころ)勝負にならない、あるいは力の差がありすぎる状態。
いっくせっく (息苦咳苦)息を弾ませ苦しむ状態。
いっけ (一家)@家族。濃い等親の一族。
いっすんむかじ (一寸百足)小さいムカデ。
いつ 何時かは。いずれ。
いっんばたらき (一旦働き)いつも怠けてる人が自分の気の向いた時に一時的に働くこと。
いっちょまい 一人前。人並み。
っていく (入っていく)姿を隠す。姿を消す。又は雲隠れする。
いつなんどき (何時何時)予定してない時間。又は思いがけない時間帯。
いっぷり 怒りっぽい性格の人。
ものでん (何時もの伝)その人の普段のやり口。
いつやら 何時の日かは判らないが去る日。過日。
てこます →いてもたる>
  てもたる やっつける。けりを付ける。やってしまう。
いてる (凍てる)凍てつく。凍りつく。氷結する。
いどこね (居処寝)仮り寝。うたた寝。
らす 飯を炊き上げてしばらくそのままにしておく。
いながら →<いなり>
南東の風。
いなさごち 東南東の風。
  いなり 傍ら。すぐそば。
いぬくそさんぼ 他人より罵りを受けたり、こちらから罵ったりする際に発する言葉。悪口雑言。
ぬご (痼り)しこり。
いぬごのじない 病気や怪我をして呪なって貰っても少しもよくならないこと。(呪い)とは霊力を借りて病気や災害を免れようとすること、又はその術。
いぬころのぼんぼん 子供より悪さを仕掛けられた時、口惜しい気持ちをあらわすために発する言葉。
いぬのちやねこ (犬の罰は猫)うっぷんを近くにいる弱い人に当たり散らして気分を晴らす喩え。
いぬふんだように (犬踏んだ様に)ひどく罵られる様。
いねもぼう (稲持ち棒)稲を運ぶ棒。
げい その場その場を上手に切り抜けること。
いびたれる あまりの寒さに外に出ることに尻込みする。又はためらう。ちゅうちょする。
まき 湯もじ。おこし。腰巻。
今すぐ。ただちに。今ちょうど。
いましがた (今し方)さっき。少し前。先程。
いけば (芋生け場)さつま芋を貯蔵するところ(芋つぼ)。
いもくさ (痘瘡)あばた。疱瘡の跡。
いものにあげ (芋の煮上げ)蒸した、又は煮たサツマイモ。
いもめし (芋飯)芋と米で炊いたご飯。
いやいや (嫌々)@意識がなくなり頭を左右に振る様。(海女用語)A渋々。不承不精。
いやし @(卑し)食い意地の張ってる食いしん坊。 A身分がひくい。 Bひんが悪い。
いやじゃ (嫌だ)
いやらし (嫌らしい)他人の言行に対しての嫌悪の感情。
いらいごたえがない (応い答がない)昏睡状態に陥ち入り意識不明になって知覚を失い、何も判らなく混沌としている状態を形容する言葉。
いらう →<いろう>
くら (苛らくら)いらいらとして心が落ち付かない様。
  (苛ち)いらだち。いらだっている様。又は苛立ちやすい人。
いらん 必要ない。要らない。無用あるいは欲しくない。
らんしょわ 要らぬお世話。
りくさらん 要らない。ほしくない。
  いりごおら 欲しい物があると入手するまで何回も々もねだって困らせること。せがむこと。
いりにいる <いりごおら>の動詞化した時に使う言葉。
いりびたし @毎日毎日。夜毎夜毎。その家の家族の様にその家にいる時間の方が長い人。Aわが家同然に振る舞っている人。
いれぶつ 効果のない金の使い方のこと。
いろき 色魔。
  いればこ (入れ箱)物を入れる箱。(他地区では「入れ物」を使う。)
  いろう (応う)触る。
いわころ 土を焼いて作った穴の空いているおもり。
いんぎん まじめ人間。真正直。
いんじくしょ (犬畜生)相手に口ぎたなく罵りを受けたり、相手を罵ったりする際の罵声語。
いんんたん 鐚一文。
いんぼ いぼ。
【う】
  すべてに精通していること。よく知っていることを示すために発する言葉。   
初の子供。第一子。
ういたかうず (浮いたか坊主)考え方が地に付かないで取り留めのないことを言う人。
ぅうん 赤ちゃん言葉でうんこ。うんち(幼児語)。
えもん 植える植物。注→種を蒔く植物は「まきもん」と言う。
うかべ @迂闊である。A上の空になる。
うかごてもらう (伺うて貰う)吉凶の判断や死者の霊との交信など霊媒者に取りついでもらう。
うかれとる 心が浮き立っている。
うきんぼ 幼児がおしっこを大量にお漏らしすること。
うけ (浮き)海や湖に何かを仕掛けてある場所の目印。
ざうざと 何もせずに時を過ごす様。
うしたる 物を失ってしまう。なくしてしまう。
うしべやから (牛部屋から牛)嫌々相手に引っ張られて不承不精仕事をすることの喩え。
  うじむし @(蛆虫)蠅の幼虫。A弱虫。
'ゃがれ 腹立ちまぎれに言う言葉で、出て行け、あるいは行きさらせ。
うじゃける @腫れ物が膿(ウミ)で崩れる。破れる。A特に熟した果物の皮がさけて型崩れする。
ろこんぼ 首のうしろにある窪みのこと。
うずうずする 傷口がうずく。
  うせさらせ →<うせるな>(より強い口調)
  うせるな 来ることならん。
来るな。行け。→<うせるな>
そうそと 何かありそうな様子や仕草。
ーた これはまあ。(あとに続く言葉の意味を強調する際に使う言葉。)                                     
  おとしや 大変恐ろしい。怖い。
おとろし →<うそおとしや>
うそかいだり すごく疲れて体がだるい。
うそーっだ 相手の言い分を否定する時に使う言葉。
うそたない @汚い身なりの。A汚い根性の。
  うそであえる (嘘であえる)言うことがすべて嘘で人を騙す信用のおけない人の行う様。
うそなき 泣きまね。
うそね 空寝。ねている素振り。
うそのわでかためる →<うそであえる>
うそはず (薄す辱し)大変きまりが悪い。すこぶる恥ずかしい。
うそばっかぁ 言ってることが嘘ばかり。
うそぜくら (嘘混ぜ来ら)話の中味に嘘も混ぜること。    
うそみとも 大変見っともない。見たり聞いたりすることに忍びがたい行為を形容する時に使う。
だる (茹だる)夏の暑さに茹でられて高温、高湿の猛暑で体がぐったりし、だるくなる。
つける 地面に叩き付ける。
まあす (打ち廻す)平手で力強く体の回る程殴る。
まける 容器に入っているものをしくじって外に出す。
うちまたごおやく (内股膏薬)あちらについたり、こちらについたりして要領よくふるまうので心を許せない人。
(二股膏薬)(股座膏薬)と言い直すこともある。
みじく 平手で顔面を強く殴る。
ちゃ 破る。こわす。
うちゃ @物がこわれる。破損する。A相手との話し合いがこわれる。
  うちら @家内。A居間。
うちわ (内輪)
うつぅし (美しい)きれい。
っさばく さんばら髪になる。髪をふりみだす。
うっ 心が晴ればれしない。うっとうしい。
うつぶく (俯く)うつむく。
うつぶける (俯ける)上下反対にする。又はうつ伏にする。
うづまる 埋もれる。土におおわれる。
かいる (打て返る)はずみを付けて転ぶ。
うてど →<うてな>
  うてな 反動。
(茹でる)ゆでる。
うとう →<うとさく>
  うとさく (疎作)うかうかと注意力に欠ける者。
うとていく 大変疲れる。くたばる。へたる。疲労困憊する。
うとんぼ →<うとさく>
うなぎ ウツボ。注→鰻ではない。
なこじ →<うじむし>
ぶから (産から)物心ついた当時から。又は幼い時から。
うぶしな (産土ウブスナの神)自分の生まれ在所の氏神。
(郁子)アケビの一種でより甘みの強い品種。
うまいごいもん →<んまいもんのずく>
うまく @(美味臭い)おいしそうな匂いの。Aお上手な。
うら 浦海。湾内。内海。
うる (潤腐)内出血で皮膚の一部が青くなったり紫色に変色する症状。 
うるめ ウルメ鰯。
れしや (嬉や)よろこばしい。
うろ うろうろ。
になる (狼狙える)うろたえる。あわてまごつく。
うわかさ (上嵩)そのものの上の部分。うわっつら(上面)。
うわか @重心が物の上部にあって不安定なこと。A自惚れ心の強い人のこと、又は思い上がってる人。
うわさく (上作)借りてる畑。小作。
風の吹き出す方向(風上)。
うんだものがつぶれたともいわん (膿んだ物が潰れたとも言わぬ)うんともすんとも言わない。又は口を開こうともしない。
んてんんてん (雲泥万里)打って変わっいる様。大違い。前回と今回とで言ってるがまるっきり違うこと。
うんともんとも 何と言われても口をきかないでいる時の状態。又は無言、無口でいる状態。
  うんな (同じ)
うんにん ウニの針のように長く伸びている頭髪。
うんのん 出した食べ物を全部たいらげる人。
うんーぁ 赤ちゃん言葉で、衣類のこと。
【え】
えー 相手に対する応答語で、特に年上の人に聞き返す言葉。例→エー、イマシナットウユータンゾイ。
ーじぇ よろしいです。
えい 年上の人に使う言葉で、そうではありません。違います。
いさらいさら 一生懸命にそのことをしてやっとのことで間にあったことを形容する言葉。
いとう いとう 多くの人が行き交う様子。例:今日のあわび王国祭りは多くの見物人でえいとうえいとうしていた。
えいわし (餌鰯)鰹釣りの生き餌用のイワシ。ひらごイワシ。
ええあんばい (良い按配)良い都合。好都合。
ええごと 正確に。念入りに。
ええころか (良い頃加減)ちょうど良い頃加減のこと。
えぇざま 他人の失敗を嘲笑する言葉。
えぇわい 物を辞退する時の言葉で、いや結構ですよ。よろしいです。又は要りません。
  んかい よろしいですか。よろしいでしょうか。
んけ →<えぇんかい>
えか 大概大概。まあまあ。えっころかげん。あるいは雑い。少し手間を省く様
ぐい アクが強くて舌を刺激することを表す形容詞。
えぐる (抉る)@親指に人差し指を添えて相手を強く捻る A刃物で穴をあける。
えげつ 非道な。強欲な。あるいはあくどい。いやらしい。薄情な。
  くたびれた。疲れた。又はすごく気疲れした。困った。
えさ (餌買い)鰹船の鰹の餌を餌場で確保する人。
えしれしと どこの誰とも判らない、又は正体が知れない人。
えしれほど (得知れん程)数え切れない程多く。
ずく (嘔吐く)嘔吐する。胃の中の物を口から出す。
せむ (似非む)自分より勝ってる人に引け目を感じて憎む。
せらげら 嫉妬心をもって面白可笑しく話す様。
えたれい 片口鰯。
ちかる ふんばる。股を大きく開く。
えっ (越中)六尺ぶんどし。
えっ →<えっぽど>
えっ 余程。
えて (得手とる)手慣れてる。得意である。得手である。
ばい この時とばかりにと虎視眈々となる様。
えらうぶる (偉そ振る)人を見くだしたような態度をとる。えらそうなふるまいをする。
えらまつ 何をさせても利巧な人。又は抜かりのない人のこと。
@選ぶ。 A選別する。より分ける。
えんやらっと ようやく。
えんーあ 初歩の子供がヨチヨチ歩きをする様。
えんりょの (遠慮の山)非常に遠慮する様。きがね。控えめ。
【お】
年下の人が「…ですか」と尋ねた時の返事としての言葉。
おー (往還)大道。大通り。
おーんな 有難う。おおきに。
おーく 天秤棒。担い棒。
おーざっぱ (大雑把)粗方(粗方)。粗雑。いい加減。手抜きしている様。
おーそい (遅い)
ーび (鮑)アワビ。
おい 相手に対しての会話冒頭語。例→おい君、おい○○君。
おいこすれる (追い擦られる)仕事を次々と追われる、又は追い回される。
おいこ 追い越すような素振で相手を急かすこと。
おい (甥ぼし)甥。
おおかまど (大竈)囲炉裏。
おいじゃ →<おじゃれ>
いそれと そのように簡単には。又はたやすくは。
おいだし (追い出し)妊婦が出産近くになると安産を願って親戚から良い食事でもてなして貰ってお腹いっぱい食べて赤ちゃんを腹から追い出す行事。
いねみそ (負いね味噌)先方が買い物を追加させること。買い終えた後の追加品。
いや 合意した時の返事のひとつ、特にお年寄りの女性が使う言葉で、相手に対する返答。例→はい解りました。
くる 歯のない人が口の中で物を何時までも噛んで口を動かしていることを表す動詞。
おかこおか (多か是か)随分と。沢山。
おおぎょお 大袈裟。針小棒大。
おぐさやま (多草山)畑一面に雑草が伸びていること。
おおぐわ (大袈裟)大螺吹き。
おざい 大波。又は海が荒れている状態。
おしき 小型の定置網のこと(12、3人程度の規模で水夫が操業する)。
おしきだけ (大敷竹)孟宗竹。定置網や真珠養殖のフロートとして使用したことによる呼び名。
おしきでば (大敷出刃)定置網漁師が携帯するナイフ。
おしゅう (大秀)水揚げ高の良いトップクラスの海女。
おおぞらし 物を大切にしないこと。又は使いすてにすること。
おたる 追い払う。
おお 大きい。でかい。
おなみおらい @(大波崩来)大波が波頭を立てて勢いよく岸辺や浜辺に打ち寄せる様を表す言葉。A(大波宝来)大波によって金品になる海草類が打ち上げられること。
おおはら →<おおはらもん>
おおはら (大腹者)度量の広い人。大胆な人。
おはりこみ (大張り込み)思い切ったお金の使い方をする人。又は大判ぶるまい。
おやまいとる 知っていながら全く知らないそぶりをしている。
おか 陸。地上。
おか (お粥)
  おかし (おかしい)
おかずき (大潜き)トップクラスの海女。水揚高の良い優秀な海女。
  おかど @(丘人)海に潜らない人。又は海女でない人。 A丘を歩いて現場近くまで行くカチ海女。 注→海女には舟人、さっぱ海女、あるいはカチ海女、漁り海女がある。  
おき (燠)赤々と燃えてる火の固まり。又は炭火。
おきど (沖人)船で沖に出て操業を行う漁師。
なます (沖鱠)漁師が沖で捕った魚を薄塩をして食事のおかずにする膾のこと。
おきらし 何年も保管していて品質の低下してる品物のこと。
おきゃが 瞬時に起きあがる。
おくのえ 奥深い洞窟の奥。
おくにもださん (臆微にも出さん)そのことばかりは絶対に口を割らない。又は口を開かない。
おけ @桶 Aしてることを中止せよ。又は休め。
おけあま (桶海女)磯桶を必要とする海女(舟海女以外の海女)。
おこす 寄越す。
おこせ (寄越せ)渡せ。
おごやがる 少し隙間の出来ること。
おごやげる 少し隙間をつくってやる。
おこられる (怒られる)叱られる。
おこりちらす →<おこりはれる>
  おこりはれる (怒り腫れる)憤慨する。腹だたしくなる。
おごろ (土竜)モグラ。
おさうってくる 心の憂さを晴らしてくる。うさばらしをしてくる。
おさうる 心の憂さを晴らす。うさばらしをする。
おさえ (押さえ)魯を押す方向に漕ぐこと。進路を右方向に向けること。
おさら →<おっさあら>
おさんどん 食事の支度をする人。食事を作る人。
  おじ (小父)婚期を過ぎても結婚してない男。
おじさん。
おじくそ (怖じ糞)臆病者。こわがりや(怖じ気)。
おしこと (惜し事)捨てがたく思う事柄。惜しがること。
おじごろし @鯵の肛門部分についている小骨。Aシャリンバイ。
おしつける @他人になすりつける。A他人のせいにする。
おじぼお →<おじ>
味噌汁に冷飯を入れて沸かした雑炊。
しゃ (お喋)@よく喋る人。A口数の多い人。長広舌する人。
じゃ おいでなさい。来なさい。
おせごと (教せ事)助言。
おせん 教えない。
そい (圧そい)漬物石などの重石。
おそう @上から圧力をかける。A更に一枚追加してその上に重ねる。
おそがけ 午後の遅い時間。
  (怖気)人に対して嫌になる。悪寒。又は手に負えない。扱いに困る。又は怖い。恐い。
げみのげ →<おぞげ>
おぞまれる 厭がられる。嫌われる。つまはじきされる。
おたいどん 陽気な気持ちの持ち主。陽気坊主。
おだてっこにのる (煽て番に乗る)人に唆されてついそれに従う。煽てにのる。
おちこむ @(落ち込む)穴があることを知らずに足を踏み入れる。又は海や川に誤って落ちる。A心の張りが無くなる。心が沈む。
おちょくる 小馬鹿にする。侮る。
ちょ たわむれ。
おちょくち 小さなお口、又は口元。
ちょ 取り留めのない話しや理解の出来ない人の話しぶり。又は笑止の様な話をしたり、行ったりする人。おかしい話しぶり。
おっがわ 体裁が悪い。
おっ でっかい。大きい。
おつ (御付)みそ汁。おつゆ。
っこべ 大きい頭。
っさん お尚さん。お坊さん。
  おっあら お手玉。きれの袋に小豆など入れた物。
ったか いましたか。
っち 赤ちゃん言葉で、恐い。おそろしい。
おっちゃ (横着)悪ふざけ。あるいはずるいこと。ずうずうしいこと。
おっちゃく (横着者)やんちゃ坊主。
おっちょこちょ 落ち着きのない軽はずみな行動をする人のこと。
おっつめ 残りの時間のわずかなこと。又は押し迫っていること。
っともとる 一言も口をきかない。
っとやっと 少々のことでは。とてもとても。
おっとしょ がってん承知した。
っぱ @船が通り過ぎた後の余波。A(大波)波頭が崩れそうな大波。B(追い波)波しぶき。
おっぽ 山に住む特定できない怖い生き物のこと。(オッポ デシコ ナクモナクウテユクと泣く赤ん坊をあやす時によく使う。)
おっぽこだに 梟の声だけが聞こえる人里離れた山里。山家。
っぽりこ 女性が下着を付けていない様。
っぽりだす 人目に晒す。みせびらかす。
おどかす 驚かす。吃驚させる。
おどける (驚く)吃驚する。
とご (乙子)末っ子。
おとこあま @(男阿魔)男まさり。お転婆。又は女丈夫。女傑。
怖い。恐ろしい。
おとしごめ 槙の実。
  としや 億劫である。面倒くさい。
おとしやーお →<おとしや>
おと 兄弟。姉妹。
れその おのれその。(大声で子供を叱る時の罵声。)
おなござい 分をわきまえない女。女の分際。
おなごし @女性の賄い人。A好色な男性
おば @伯母。叔母。小母。A正妻以外に特別な関係にある女性。
おばさん
ばす 追加する。上乗せする。
お転婆娘。
おばれ @背中におんぶしてもらう。A背負う。又は負担を負う。
おひ (御引き)子どものお使い時の駄賃。
おひをつける (尾鰭を付ける)その物や事に更に付け加える、又は追加する。
おびや (産屋)妊婦のお産するところ。
おびやど (産屋人)お産をすませた女性。又は養生中の女性。
おびわた (鮑腸)鮑の肝。
おぶれる (溺れる)おぼれる。泳げない人が海や河にはまる。
おぼける 老いぼれる。痴呆状態になる。
おぼたい 重い。重たい。
おまや お前は。
おみ 海。大海。洋。
おめきなさる →<おめく>
おめく (喚く)大声で叫ぶ。
かじ (面舵)船を右方向に進める舵の取り方。
おもくれる (浮腫)顔がむくむ。
もさま 沢山。多く。
(面)舟の前部の呼び名。(後部は「艫」)
おもてがけ (面手掛け)通常は船の左舷で操業するのに対し右舷から網を投入すること。
俺は。
やこ (親子)親戚。血縁関係。
やせん いない。
俺ら。俺たち。
おらえ @堪える。辛抱する。我慢する。A動かないように押さえつける。
@居ます。A沈む。
るかい いますか。
るんかい →<おるかい>
おれげ 俺の家。
わいつく 追いつく。
える 追跡する。
おん 女性。
おんなございに 女性の分際で
おん →<うんなし>
おんぼ @尾。A

TOPへ  御座の方言集・目次へ  「御座」あれこれ・目次へ